石川高専はどんな学校?5学科・就職・難関大学編入・令和9年度入試を解説

石川工業高等専門学校(石川高専)は、中学校卒業後から5年間かけて、一般科目と工学の専門分野を学ぶ国立高等専門学校です。

普通高校と大きく異なるのは、1年生から専門分野への入口を学び、学年が上がるにつれて実験・演習・研究の比重が増えていくことです。卒業後は技術者として就職するだけでなく、専攻科への進学や大学3年次への編入も選べます。

この記事では、そんな石川高専の学校の特徴、学習環境、卒業後の進路、入試、費用、学校選びで確認したい点を整理します。

この記事の情報について
入試日程・選抜方法・費用は令和9年度学生募集要項、学校生活・進路に関する説明は2026年度の塾向け学校説明会資料をもとにしています。制度や金額は変更される場合があるため、出願時には必ず学校公式の最新情報をご確認ください。

石川高専の要点

項目 内容
学校種別 国立高等専門学校
修業年限 5年間
学科 機械工学科、電気工学科、電子情報工学科、環境都市工学科、建築学科
学び方 一般科目と専門科目を並行して学び、学年とともに専門の割合が増える
授業時間 1コマ90分
男女比 男子中心の印象があるが、女子学生も全体の3割程度
卒業時 準学士の称号
主な進路 就職、専攻科進学、大学3年次編入
令和9年度推薦選抜 2027年1月16日(土)
令和9年度学力検査 2027年2月14日(日)
学力検査科目 理科・英語・数学・国語の4教科

1年生から専門を学び、5年生の卒業研究へつなげる

石川高専では、1、2年生の段階では国語、社会、数学、理科、英語などの一般科目を学びながら、専門分野の基礎にも触れます。3、4年生になると専門科目や実験・演習の割合が増え、5年生では、それまでに身につけた知識をもとに卒業研究へ取り組みます。

石川高専|5年間で専門性を深める学び 一般科目と専門科目を並行して学び、学年とともに専門の比重が高まります 一般科目 専門科目 1年2年3年4年5年 専門への入口実験・演習専門を深める卒業研究 講義だけでなく、実際に手を動かしながら理解する「実践的な学び」

このような学び方は「くさび型教育」と呼ばれます。専門科目を卒業間際にまとめて学ぶのではなく、低学年から一般科目と並行して専門教育を取り入れ、学年とともに専門の比重を高めていく形です。

実験・演習を重視するため、授業は1コマ90分です。講義で理論を学ぶだけでなく、実際に手を動かして確かめることを通して理解を深めます。

ザワナビの見方

高専は「理系科目が得意なら向いている」とだけ考えると、判断を誤りやすい学校です。5年間にわたり専門を学び続けるため、数学・理科の基礎力に加え、自分で試すことや、分からないことを掘り下げる姿勢が必要です。

一方で、中学生の段階ですでに機械、情報、建築、まちづくりなどへの関心がはっきりしている生徒にとっては、普通高校より早く専門に触れられる大きな魅力があります。

5つの学科で学べること

石川高専には5つの学科があります。どの学科も工学を学びますが、扱う対象は大きく異なります。

機械工学科

ものづくりに関心があり、自動車、飛行機、ロボットなどの機械システムを学びたい人に関係の深い学科です。設計、加工、制御など、機械をつくり動かすための幅広い分野へつながります。

電気工学科

電気、エネルギー、ロボット、コンピュータ、通信、ITなどを扱います。電気をつくる・送る・制御するといった技術から、電子機器や情報通信につながる分野まで学びます。

電子情報工学科

コンピュータの原理、プログラミング、情報、電子、通信などに関心がある人に関係の深い学科です。機械工学科や電気工学科と共通する分野もあるため、学科名だけで判断せず、体験入学などで実際の学びを確かめることが大切です。

環境都市工学科

まちづくりを主な対象とし、道路、橋、空港、上下水道など、社会を支える基盤について学びます。建物単体よりも、都市や地域全体を支える土木・環境分野に関心がある人に向いています。

建築学科

建築材料、構造、環境、デザインなどを学びます。建物の見た目を考えるデザインだけでなく、安全性や快適性を支える工学的な内容も扱います。

ザワナビの見方

学科選びでは、「ロボットが好き」「パソコンが好き」「建物が好き」といった入口だけで決めず、実際の授業科目と卒業研究のテーマまで確認することが大切です。

特に機械・電気・電子情報は、ロボットやコンピュータなど共通するキーワードがあります。オープンカレッジや学校案内で、各学科がその対象をどの角度から扱うのかを比較しましょう。

情報技術を全学科で学ぶ

石川高専では、AIや情報セキュリティなどの知識が、特定の学科だけでなく、すべての工学分野で求められるようになっています。

それぞれの専門分野を学びながら情報技術も身につけられるコースを設け、学校全体でDX教育を進めています。建築や環境都市を選んだ場合も、情報分野と無関係になるわけではありません。

「高専は男子ばかり」ではない

高専には男子学生が多いというイメージがありますが、石川高専では女子学生も全体の3割程度を占めます。環境都市工学科や建築学科だけでなく、機械工学科、電気工学科、電子情報工学科にも女子学生が入学しています。

男女比だけで学科を選ぶ必要はありません。興味のある専門分野がある女子中学生にとっても、石川高専は十分に検討できる進路です。オープンカレッジでは、設備や授業内容に加え、各学科の学生の雰囲気も確認しておくとよいでしょう。

学習サポートと学生生活

専門的な内容を早くから学ぶため、「中学校卒業後すぐに授業についていけるのか」と心配する家庭もあるでしょう。

学習上のつまずきが見られた場合には、補講や追試によるサポートがあります。授業アンケートも授業改善に活用されています。ただし、高専では普通高校以上に、自分で課題を管理し、分からない部分を質問する姿勢が重要になります。

部活動も行われており、運動部、文化部、同好会があります。高校総体や高専体育大会のほか、ロボコン、プロコンなど、高専らしい大会への挑戦機会もあります。4年次には海外研修を行い、企業・大学の訪問や現地学生との交流に取り組んでいます。

卒業後は就職と進学の両方を選べる

高専というと就職のイメージが強いですが、卒業後は就職、専攻科進学、大学3年次編入などから進路を選べます。

卒業後は「就職」と「大学進学」の両方に強い 石川高専 本科 5年間の専門教育 就職 専攻科・大学3年次編入 就職率 100% 求人倍率は公式サイトで20倍以上 2026年度資料では各学科50倍以上 学校推薦を中心に、各学科が就職を支援 東大・旧帝大などへ合格 北海道大・東北大・大阪大・九州大 筑波大・東京科学大・神戸大・広島大など 大学ごとに試験日が異なり、複数受験も可能 「高専=就職だけ」ではありません

就職

就職時に学校推薦を利用する学生が多く、学科が企業との間に入りながら就職活動を支援します。一般的な大学生の就職活動とは進め方が異なり、高専で身につけた専門性を生かした企業選びが中心になります。

就職希望者の就職率は100%です。求人倍率は、学校公式サイトでは20倍以上、2026年度資料では各学科50倍以上となっています。集計時期や数え方によって幅はありますが、学生数を大きく上回る求人が寄せられていることは、石川高専の大きな強みです。

専攻科・大学編入

5年間の本科を卒業した後、石川高専の専攻科へ進む道があります。また、国公立大学などの3年次編入学試験を受けることもできます。

大学編入学試験は大学ごとに日程が異なるため、試験日が重ならなければ複数の国公立大学を受験できる場合があります。将来大学へ進みたい生徒にとっても、高専は選択肢になり得ます。

知っておきたい「高専から難関大学」というルート

石川高専は就職に強いだけではありません。2026年実施の大学編入学試験では、東京大学への合格者が出たほか、北海道大学、東北大学、大阪大学、九州大学などの旧帝国大学、筑波大学、東京科学大学、神戸大学、広島大学などへの合格実績があります。金沢大学にも多くの合格者がいます。

これらは、一般の高校から大学入学共通テストと個別試験を受けるルートでは合格の難しい大学です。高専では、5年間の専門教育を土台として、大学3年次編入学試験に挑戦できます。大学によっては推薦制度があり、試験日が異なれば複数の国立大学を受験できる場合もあります。

つまり石川高専は、「早く専門を学んで就職する学校」であると同時に、「工学分野を学びながら、難関国立大学への編入を目指せる学校」でもあります。中学生や保護者に、まだ十分知られていない魅力の一つです。

ザワナビの見方

大学進学の可能性があるからといって、普通高校から大学を目指す場合と同じではありません。高専では入学時に専門分野を選び、5年間の工学教育を経て編入を目指します。

「大学へ行きたいか」だけでなく、「高校年代から工学を学びたいか」「選んだ専門分野を継続して学ぶ意思があるか」を軸に判断する必要があります。

令和9年度入試のポイント

令和9年度入試には、推薦による選抜と学力検査による選抜があります。

推薦による選抜

  • 検査日:2027年1月16日(土)
  • 会場:石川高専
  • 選抜資料:推薦書、調査書、数学の適性検査、面接
  • 数学の適性検査:40分、マークシート方式
  • 面接:志望動機や目的意識などを確認

数学の適性検査はマークシート方式ですが、方式変更によって出題レベルが引き上げられたわけではありません。試験時間は、マークする時間を考慮して40分に設定されています。

推薦で合格内定とならなかった場合も、WEB出願時に学力検査の受験を希望し、推薦と学力検査の第1志望学科が同じであれば、検定料を改めて納めずに学力検査へ進めます。第1志望学科を変更する場合は、新たな出願が必要です。

学力検査による選抜

  • 検査日:2027年2月14日(日)
  • 教科:理科、英語、数学、国語
  • 配点:各100点、合計400点
  • 方式:マークシート方式
  • 判定:学力検査の成績と調査書をもとに総合判定
  • 合格発表:2027年2月19日(金)正午ごろ

石川高専の学力検査は4教科で、社会はありません。1教科でも受験しない場合は失格となります。

第2・第3志望を選べますが、希望する学科がない場合は無理に入れる必要はありません。なお第2・第3志望であることを理由に得点を減らす扱いにはなりません。

欠席日数の扱い

欠席があることだけを理由に減点する扱いはなく、欠席日数は受験資格にも含まれていません。

一方、調査書では各学年10日以上の欠席について理由の記載が必要です。個別事情がある場合は、出身中学校と石川高専に早めに確認してください。

入学時に必要な費用

令和9年度学生募集要項に記載された予定額は次のとおりです。

項目 予定額
入学料 84,600円
授業料 前期117,300円
教育後援会費 30,000円
学生会費 9,000円
教科書・教材費等 約40,000円
生活協同組合出資金 10,000円
ノート型パソコン 約200,000円

1~3年生の授業料は、高等学校等就学支援金制度等により無償となる場合がありますが、所定の手続きが必要です。入学料や授業料などが改定された場合は、新しい金額が適用されます。

高校から国立大学へ進むより、授業料を抑えられる場合がある

公立高校から国立大学へ進学する場合と比べると、高専を経由する進路では授業料を抑えられる場合があります。

進路によっては授業料負担も抑えられる 公立高校から国立大学へ進む場合を基準とした、2026年度資料時点の試算 高専 → 国立大学3年次編入 高専本科 → 高専専攻科 約43.8万円 約123.8万円 授業料を抑えられる 授業料を抑えられる 5年間の専門教育後に 国立大学の3年次へ 専攻科で専門をさらに深め 大学卒業相当の学位取得を目指す ※授業料の比較。入学料、教材費、通学費、寮費などを含む総費用ではありません。 制度・金額は変更される場合があります。
  • 石川高専から国立大学3年次へ編入し、学部を卒業する場合:約43.8万円少ない
  • 石川高専本科から専攻科へ進み、大学卒業相当の学位取得を目指す場合:約123.8万円少ない

これは2026年度資料時点の授業料をもとにした試算であり、入学料、教材費、通学費、寮費などを含む総費用の比較ではありません。それでも、1~3年生には就学支援金制度があり、4、5年生の授業料も国立大学より低く設定されているため、進路によっては家計負担を抑えながら専門教育と大学進学相当の学びを両立できます。

学生寮を利用する場合は、寄宿料、寮費、食費、寮生会費などが別途必要です。寮を検討する家庭は、毎月の費用だけでなく、入寮条件や部屋の形態、休日の食事、帰省ルールも確認しておきましょう。

石川高専が合いやすい生徒

5年間の学び方を踏まえると、次のような生徒は石川高専を検討しやすいでしょう。

  • 数学や理科が好きで、理由や仕組みを考えることを楽しめる
  • 機械、電気、情報、土木、建築などに関心がある
  • ものをつくる、試す、改善する活動が好き
  • 中学校卒業後から専門分野を学びたい
  • 実験や演習に粘り強く取り組める
  • 5年間を見通して、自分の課題を管理できる

反対に、専門分野をまだ絞れず、大学進学時に文系・理系や学部を決めたい場合は、普通高校の方が選択の幅を保ちやすいことがあります。

学校選びで確認したい5つの点

1.
学科名ではなく授業内容まで確認する

似たキーワードを扱う学科でも、学ぶ目的やアプローチは異なります。授業科目、実験内容、卒業研究の例を比べましょう。

2.
5年間その専門を学び続けたいか考える

早く専門を学べることは高専の魅力ですが、入学時に学科を選ぶ必要があります。興味が一時的なものではないか、体験授業などで確かめることが大切です。

3.
通学時間と生活リズムを確認する

90分授業、実験・演習、課外活動を含めると、学校で過ごす時間は長くなります。JR津幡駅から学校までの徒歩時間も含め、平日の生活を具体的に試算しましょう。

4. 就職と進学の両方を調べる

就職先の企業名だけでなく、仕事内容や勤務地も確認します。進学希望の場合は、希望大学の編入学制度、試験科目、募集人数まで確認しておく必要があります。

5.
入試科目だけでなく入学後の数学・理科を意識する

学力検査に社会がないからといって、受験科目の数だけで選ぶのは適切ではありません。入学後は数学・理科を土台に専門科目を学ぶため、基礎を曖昧にしない準備が必要です。

まとめ

石川高専は、中学校卒業後から5年間、一般科目と専門科目を結びつけながら学べる学校です。実験・演習を重視し、機械、電気、電子情報、環境都市、建築の各分野で専門性を高めます。女子学生も全体の3割程度おり、すべての学科で学んでいます。

卒業後は、豊富な求人を背景とした就職の強さに加え、専攻科や大学3年次編入への道があります。東京大学や旧帝国大学、東京科学大学などの難関国立大学への合格実績があり、高専から大学へ進むルートも大きな魅力です。進路によっては、一般の高校から国立大学へ進む場合より授業料負担を抑えられます。

学校選びでは、入試の難易度や就職実績だけで判断せず、「選んだ専門を5年間学びたいか」「実験や課題に粘り強く取り組めるか」「卒業後の進路をどう考えるか」を確認することが大切です。

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参考資料:石川工業高等専門学校「令和9年度学生募集要項」、2026年度塾関係者向け学校説明会資料・説明内容。入試制度、日程、費用等は変更される場合があります。最新情報は石川工業高等専門学校公式サイトでご確認ください。

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