人の倍復習すれば定着度も上がるの嘘?!
「問題をたくさん解く」「何度も何度も復習する」
これらは「成績を上げる、定着率を上げる」ための方法として広く一般的にも認知されている方法です。実際、このような手法で成績を上げてきた方も少なくないはずです。
昨今、教育現場には「科学的根拠」を取り入れようという動きがあります。そういった動きの中で、この「とにかく何度も課題に取り組む」という方法に対して「取り組んだ回数は重要ではない」という考えが示されているそうです。今日はそんな話を取り上げてみようと思います。
復習は回数ではない!!?
集中学習と分散学習という言葉をご存知でしょうか?!
集中学習:時間感覚をおかずに学習する事
分散学習:時間感覚を置いて学習する事
例えばある内容を1回勉強して学習(覚えた)したとしましょう。その学習を終えたら、定着させるために問題演習をする必要があります。この問題演習は「定着」には絶対欠かせないということはすべての人に共通した認識だと思います。ところが「演習量を増やす」ことが学習の定着に大切な事だと勘違いしていませんか?ということを、最近の研究を踏まえて指摘する人が増えてきています。
もう少し詳しくお話しましょう。
演習問題を普通に1回解いた人と、1回解いた人の4倍解いた人との成績を比べた実験があるのです。、1週間後テストをすると、たしかに4倍解いた人の方が成績は良いのです。ところが、3週間経過した頃には、4倍解いた人も、1回しか解いていない人も、点数に差がほとんどなくなるのです。つまり効果が消えてなくなっているわけです。ここからわかることは、定着に大切なことは「演習量」ではないのです。
定着に必要なものは「間」
学習内容の定着の場面における「演習量」はあまり強い意味を持たないということを先ほど指摘しましたが、では定着に必要なことは何なのでしょうか?!
実はそれは学習と学習「間」なのです。その「間」を最適にすることで学習効果を最大化することができるのだそうです。では、具体的なその「間」とはどういったものかと言いますと、
【試験が1週間後にあるとき】
最適な「間」=1日か2日
【試験が半年後にあるとき】
最適な「間」は3〜5週間
となります。自分のパフォーマンスが問われる日から逆算した残り日数に応じて、このような適切な「間」を意識して復習することで、通常以上の学習パフォーマンスを得られるのだそうです。
物事を学習し定着さえるために「時間」が必要であることは間違いありません。しかしそれは「定着」させるための「演習」に「時間」をかけなければならないからではなく、学習と学習の間に「適切な間」をとる必要があるからなのだと言えるかもしれません。
これまでなかば暗黙知として共有されていた学習の定石についても、近年ではそこに科学的根拠を見出そうという動きがあります。教育分野に急速にIT技術が普及し、科学的アプローチが実践されている昨今、このような科学的根拠に基づいた学習を意識してみることも必要かもしれません。